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技術・特許

臭素化・ヨウ素化反応解説シリーズ①:
選択性の高い穏やかな臭素化剤、N-ブロモ化合物とは

技術・特許, 製品

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マナックの技術力の中核とも言える、臭素化・ヨウ素化反応。マナックが製造した臭素化合物やヨウ素化合物は、医薬品や農薬、半導体材料など、多くの分野の中間体として利用されています。

一方、臭素化・ヨウ素化反応は有機合成において重要な役割を担っているにもかかわらず、体系的に解説した資料や文献はあまりありません。そのため、自社で合成反応を行う際に「情報が得られず困った」経験がある方も多いのではないでしょうか。

そこで、今回Chemiaでは、マナックが有する臭素化・ヨウ素化技術を解説するシリーズを始めることにしました。初回の今回は、代表的な臭素化剤「N-ブロモ化合物」。N-ブロモ化合物の特徴や利点、使用時の注意点といった基本情報の解説に加えて、マナックでの使用事例もご紹介します。

N-ブロモ化合物とは

選択性の高い、穏やかなN-ブロモ化合物臭素化剤
N-ブロモ化合物は、窒素原子上にブロモ基(-Br)を有する化合物です。N-ブロモ化合物の一種であるN-ブロモイミドやN-ブロモアミドは、選択性が高く穏やかな臭素化剤として実験室でよく用いられています。代表的なものは以下の通りです。

これらのN-ブロモ化合物は粉末状で、揮発性の高い臭素(液体)よりも定量的に扱いやすい点がメリットです。ただし、反応後に大量のイミドやアミドが残ってしまう、原子経済効率(反応の際、無駄にならずに使われる原子の割合)が低い、といったデメリットもあります。

N-ブロモ化合物の選択性
N-ブロモ化合物は、不飽和結合で活性化された位置(アリル位やベンジル位、カルボニル基のα位など)を選択的に臭素化するのに適しています。ただし、反応条件によっては二重結合への付加などが起こり、別の箇所が臭素化される場合もあります。

N-ブロモ化合物を用いた臭素化反応

臭素化の原理
ここでは、NBSを使ったアリル位の臭素化反応を考えましょう。NBS中のN-Br結合がラジカル的に開裂し、発生したBrラジカルがアリル位の炭素に結合した水素原子を引き抜くことで、アリルラジカルとHBrが発生します。このHBrは別のNBSと反応し、in situでBr2が発生します。このBr2が先ほどのアリルラジカルと反応して、アリル位が臭素化されるのです。臭素化の過程で別のBrラジカルが生成されるため、ラジカル連鎖的に反応が起こります。

          NBSによる臭素化反応の機構図

上記の臭素化反応は、CH2(第二級炭素)>CH3(第一級炭素)>CH(第三級炭素)の順に起こりやすいことが知られています。第三級炭素の臭素化では、過酸化物の添加や光照射が必要なケースも多く見られます。

臭素化反応の注意点
N-ブロモ化合物を用いた臭素化反応を行う際には、以下の点に注意が必要です。

・生成物の構造によっては異性化やHBrの脱離が起こりやすいため、反応条件の選択に注意を払う必要がある。

・過酸化物が共存すると、有機化合物と爆発的に反応する場合がある。

・N-ブロモ化合物に触れた際、体質によってはかぶれや湿疹が発症する場合がある。

代表的なN-ブロモ化合物による臭素化反応例
各N-ブロモ化合物は、以下のような臭素化反応に用いられます。

マナックでは、N-ブロモ化合物が第一選択とは限らない

NBSやDBDMHは粉末状で取り扱いが容易なため、大学などの研究機関では臭素化剤の第一選択としてよく使用されています。一方、マナックでは、必ずしもN-ブロモ化合物が臭素化剤の第一選択とはなりません。例えば、マナックでN-ブロモ化合物を使用するのは、原料と臭素化剤の比率を厳密にコントロールしたい場合や、臭素化剤由来の副生物による副反応が問題となる場合などです。

なぜ、マナックでは臭素化反応にN-ブロモ化合物を使用しないケースも多いのか? その秘密は、マナックの工場設備にあります。マナックの工場には臭素配管がはりめぐらされており、各工場で臭素を取り扱うことが可能です。そのため、粉末状で取り扱いやすいN-ブロモ化合物以外にも、さまざまな臭素化剤を使用できるのです。各反応に最適な臭素化剤を選択できる点は、マナックの大きな強みだと言えます。

マナックは、代表的なN-ブロモ化合物であるNBSおよびDBDMHを製造・販売しています。ぜひ、お気軽にお問い合わせください。

参考文献
1) 鈴木仁美 監修、マナック(株)研究所 著、「臭素およびヨウ素化合物の有機合成 試薬と合成法」、丸善出版
2) Braude, E. A., Waight, E. S. J. Chem. Soc., 1952, 1116.