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スタッフストーリー

高品質な製品を低コストで提供したい!/超原子価ヨウ素化合物「DAIB」の製造コスト削減に向けた熱い挑戦①

【CAS No.】3240-34-4
【化学名】
(ジアセトキシヨード)ベンゼン
【化学式】C10H11IO4

「失敗は成功の母」と言いますが、実際に失敗体験を成功につなげるには粘り強い努力が必要です。マナックの研究者たちも、日々多くの失敗を乗り越えながら新たな価値を生み出しています。

マナックは十数年前から、医薬品原薬の製造過程で活躍する「DAIB」と呼ばれる化合物を製造・販売してきました。今回ご紹介するのは、DAIBをより低コストで製造できるよう、その製法改良に取り組んだお話です。そこには、失敗を粘り強く分析して成功につなげる、マナック研究者の熱い物語がありました。

超原子価ヨウ素化合物「DAIB」とは

医薬品の有効成分である「原薬」は、さまざまな化学反応を経て合成されます。この合成過程で「酸化剤」と呼ばれる試薬として活躍するのが、マナックが製造・販売する超原子価ヨウ素化合物「DAIB」です。DAIBは(Diacetoxyiodo)benzene((ジアセトキシヨード)ベンゼン)の略で、Iodobenzene diacetate(ヨードベンゼンジアセタート)、Phenyliodine diacetate(フェニルヨージンジアセタート)、PIDAなどとも呼ばれます。

DAIBは従来の重金属系酸化剤と比べて毒性が低く、環境にやさしい酸化剤です。そのため、高い安全性が求められる医薬品原薬の製造に適しています。一方でDAIBには、「重金属系酸化剤に比べて製造コストが高い」「反応後に副生物が残る」といったデメリットもあります。

DAIBの構造や特徴をより詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

「マナックさん、安くて高品質なDAIBをつくってくれませんか?」

「国内メーカーのDAIBを使いたいんです。マナックさん、DAIBを安価に提供していただけませんか?」

今回のDAIB製法改良ストーリーは、とある国内原薬メーカーからのこのような要望がきっかけで始まりました。

本記事の冒頭でもお伝えしたように、マナックは十数年前からDAIBの製造・販売に取り組んでいました。マナックのDAIBは品質のぶれが少ない良質な製品でしたが、海外製品よりも価格が高かったため、国内での売れ行きは今ひとつでした。

「DAIBの使用量が少ない段階では、価格よりも調達のしやすさを優先してマナックのDAIBを購入してくれる国内原薬メーカーもいました。しかし、医薬品の開発段階が進むと使用するDAIBの量も増えるので、安価な海外製のDAIBに乗り換えるケースが多くなります。この流れを止めたい思いもありましたが、なかなか販売価格を抑えるための製法改良に踏み切れないのが現状でした」と、当時DAIBの営業を担当していた田中豪さん(=記事冒頭の写真)は語ります。

そんな中で受けたのが、「DAIBの販売価格を安くしてほしい」という先ほどの依頼だったのです。この依頼を受けて、田中さんは心を決めました。

「新型コロナウイルスの流行や環境規制、物流問題などの影響で、調達しやすい国内品を求める動きが増えたのでしょう。このような国内原薬メーカーからの要望を受けて、DAIBの製法を改良して製造コストを削減できないか検討を始めました」

序盤から苦戦を強いられた、DAIBの製法改良

DAIB製法改良プロジェクトの実験担当に選ばれたのは、当時医薬チームに異動してきたばかりの延命千浩さんでした。

「最初は全然うまくいきませんでした。予想よりもかなり苦戦しましたね」

DAIBの製造コストを抑えるためには、生産性の課題を解消する必要がある。そう考えた延命さんは当初、以前とは別の原料を使用すれば生産性を上げることができるのではないかと検討を進めました。しかし、延命さんはすぐに壁にぶつかってしまいます。

「幸い、別の候補原料を使ってもDAIBができることはすぐに確認できました。しかし、どれだけ実験を繰り返しても目標の純度には届かなかったのです。これでは製品として使い物になりません。純度が上がらない原因を、何としても探る必要がありました」

延命さんは追加実験を続けましたが、なかなか成果が出ません。1カ月、2カ月……と時は過ぎ、当初の開発予定期間である3カ月が経過してもDAIBの純度は低いままでした。

その後、延命さんがある「ヒント」にたどり着いたことで、本プロジェクトは意外な展開を見せます。果たして、DAIBの製造コストを下げることはできたのでしょうか。

続きは次回の記事をご覧ください。

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