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スタッフストーリー

DAIBがダメでも「次の選択肢」を提供したい!「DAIM」製法改良で魅せたいマナックの技術力!

【CAS No.】33035-41-5
【化学名】
ヨードメシチレンジアセタート
【化学式】C13H17IO4

世の中にはあまり知られていないが、大きな可能性を秘めている――。そんな化合物があるのをご存じですか?

マナックは最近、医薬品分野の酸化剤として需要が多い化合物「DAIB」の製法改良に成功し、高品質なDAIBをより低価格で提供できるようになりました。現在、この新たなDAIBの拡販に向けて準備を進めています。

しかし、DAIBが酸化剤として万能なわけではありません。お客さまの要望によっては、DAIBを使用しても反応がうまくいかないケースが当然あります。ここで次の候補となるのが、DAIBに似た構造と反応性を持つ超原子価ヨウ素化合物の提供です。その候補のひとつとして、現在マナックは、DAI『B』に続いて、DAI『M』の製法改良にも取り組んでいます。

インターネットで検索してもヒット件数も少なく限られた情報しかでてこないDAIM。世界中でも商業的に取り扱っている会社はそう多くないと思われるこのDAIMは果たして、DAIBの「右腕」としてどんな活躍が期待できるのでしょうか。

国内および海外でそれぞれDAIMの営業を担当している田中豪さんと小土井文生さんに、DAIMのメリットや製法改良の状況について話を聞きました。

DAIBと似た超原子価ヨウ素化合物「DAIM」とは

DAIMは、DAIBと似た構造・反応性を持つ超原子価ヨウ素化合物です。正式名称はIodomesitylene diacetate(ヨードメシチレンジアセタート)で、2-(Diacetoxyiodo)mesitylene(2-(ジアセトキシヨード)メシチレン)、2,4,6-Trimethyl(diacetoxyiodo)benzene(2.4.6-トリメチル(ジアセトキシヨード)ベンゼン)などとも呼ばれます。DAIBと同じく、医薬品分野などの酸化剤として有用です。

超原子価ヨウ素化合物やDAIBについてくわしく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

DAIBを使っても反応がうまくいかない場合に、次の選択肢として登場するDAIM。DAIMにはどのようなメリットがあるのでしょうか。

1つ目のメリットは、我々の知見ではDAIBよりも反応が穏やかで制御しやすい点です。これにより、安全かつ副反応を抑えた反応ができるようになります。

2つ目は、副生物の分離に関する点です。DAIBやDAIMを使用すると、目的の生成物と同時に副生物も必ずできてしまいます。そのため蒸留などの方法で副生物を分離する必要があり、DAIBの副生物であるヨードベンゼンが目的物と沸点が近い場合、うまく分離できないケースが当然あります。このケースでDAIMを用いた場合、副生物であるヨードメシチレンはヨードベンゼンよりも沸点が大幅に高いため、目的物と分離できる可能性が高くなるのです。

小土井文生さん

運命的なきっかけから始まった、DAIMの製法改良プロジェクト

マナックは、長年DAIBとDAIMを販売してきました。しかし、両者は反応性が似ているためDAIBで事足りるケースがほとんどで、DAIMの出番は少なかったと言います。

「DAIMは、いわばDAIBの裏方。『売れたらラッキー』程度に思っていました」(田中さん)

2023年5月、そんなDAIMに転機が訪れます。小土井さんが海外の展示会に出展し、アメリカのメーカーからある相談を受けたときのことです。

「そのメーカーはDAIBを使ってある酸化反応を行いたいと思っていたのですが、副生物であるヨードベンゼンを分離できずに困っていました。そこで、何かよい方法はないかと聞かれたのです」(小土井さん)

そこで小土井さんが提案したのが、DAIMでした。DAIBの代わりにDAIMを使えば副生物を分離できるかもしれないと話したところ、メーカーの担当者は興味津々。ぜひともDAIMのサンプルを提供してほしいとの話になったのです。小土井さんからこの話を聞いた田中さんは、「DAIMに本腰を入れるよい機会だ」と感じたと言います。

「当時、ちょうどDAIBの製法改良が完了して顧客からよい評価をいただいたところでした。DAIBの製法改良が成功したなら、DAIBと構造が似ているDAIMでも成功する可能性が高い。そこで、せっかくDAIMのサンプルを提供するならこの機会に製法改良も行いたいと思ったのです。製法改良で高品質なDAIMの量産化が実現すれば、DAIMの拡販に力を入れるきっかけにもなりますしね」(田中さん)

かくして始まった、DAIMの製法改良プロジェクト。もちろん机上で思い描くように簡単にはいきません。DAIBの製法改良のときと同様に、すんなりとスケールアップが実現できるわけではなく、今も様々な問題が現実には降りかかってきます。

「粘り強い努力によって失敗を成功につなげるのは、マナックの得意分野。マナックのプロセス開発を担う研究者たちがお客様のためにこの壁を乗り越えて、必ず製法改良をやり遂げてくれると信じています」(田中さん)

田中豪さん

DAIMで環境にやさしい社会の実現を目指す

近年、環境意識の高まりもあって多くの分野で従来の重金属酸化剤に替わる酸化剤として、DAIBを始めとする超原子価ヨウ素化合物が注目されています。田中さんは、ここがDAIMのメインターゲットになるのではと予想しています。

「酸化剤の置き換えをめざす企業の中には、『DAIBを使いたいけどうまくいかない』という理由で仕方なく重金属酸化剤を使い続けているケースもあるでしょう。彼らにDAIMという『次の選択肢』を提示すれば、DAIMにうまく切り替えられる場合も多いと思います」(田中さん)

今回の製法改良が成功して量産化できれば、より多くの顧客にDAIMを提供するとともに、重金属酸化剤に頼らない環境にやさしい社会を実現できる。今マナックは、そんな未来に向けて大きく舵を切っているところなのです。

「今回の製法改良を成功させてマナックの高品質なDAIMを広く世界にアピールし、多くの企業にその存在を知ってもらえたらと思っています」(田中さん)

近いうちに市場投入されるであろう、マナックの新たなDAIM。それはDAIBの活用に悩む多くの企業を救う、画期的なソリューションとなるでしょう。マナックは今後も、DAIMの製造・販売に力を入れていきます。

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