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複雑な化合物もお手のもの!/「異種ハロゲン」シリーズ
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【CAS No.】105946-82-5
【化学名】4-ブロモ-4′-ヨードビフェニル
【化学式】C12H8BrI
マナックは、臭素やヨウ素などの「ハロゲン」を含む化合物(ハロゲン化合物)を製造・販売しており、薬や香料、電子材料、感光体材料といった化合物の中間体として利用されています。販売品の一例としては、「アルキルハライド」「α-ブロモ化合物」「異種ハロゲン化合物」などのシリーズがあります。
今回は、複雑な最終化合物をつくる際に活用できる「異種ハロゲン化合物」シリーズの特徴や用途などを解説します。
contents
異種ハロゲン化合物とは?
異種ハロゲン化合物とは、2種類以上のハロゲンを含む化合物のことです。マナックが特に得意とするのは、臭素とヨウ素を含む異種ハロゲン化合物です。
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ハロゲン部分で他の化合物と「接着」する
2種類の化合物をくっつけるという作業は、
- それぞれの化合物の元々の結合を切る
- 2種類の化合物の間に新しい結合をつくる
の2つの工程の組み合わせです。
もともとの結合を切るためには通常大きなエネルギーが必要ですが、炭素とハロゲンの結合は比較的弱いため、少ないエネルギーで狙った位置の結合を切ることができます。その結果として、異種ハロゲン化合物中のハロゲンの位置に他の化合物が結合する反応(カップリング反応)が起こります。このとき、ハロゲンは抜けます。
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つまり、異種ハロゲン化合物中のハロゲンは、自身の位置に別の化合物をくっつけるための「接着剤」として働いているのです。
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「接着」の順番を制御できる
電子材料や薬として使われる化合物(最終化合物)は一般に複雑な構造をしています。最終化合物をつくるには、構造を複数のパーツに分け、パーツ同士を結合させる作業が必要です。「接着剤」であるハロゲンを持つ異種ハロゲン化合物は、このパーツとして適任なのです。
特に異種ハロゲン化合物は、分子中に2種類以上のハロゲンを含むため、マナックの他製品である「アルキルハライド」「α-ブロモ化合物」シリーズに比べて複雑な構造の化合物をつくることが可能です。どういうことか、以下でくわしく説明します。
例えば、ベンゼン環の反対側にR1とR2という異なる構造が結合した、以下のような化合物Aをつくりたいとしましょう。
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化合物Aをつくるためのパーツとして、以下のように臭素のみを含む化合物Bを使うとします。
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まずは化合物BとR1とを反応させて、化合物Bの左側の臭素(Br)部分にのみR1を結合させたいと考えました。しかし、化合物B中の臭素は2つとも全く同じものなので、右側の臭素にもR1が結合してしまいました。これでは化合物Aを得ることはできません。
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では次に、臭素とヨウ素とを含む以下の異種ハロゲン化合物Cを使って化合物Aをつくることを考えましょう。
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まず異種ハロゲン化合物CとR1とを反応させました。炭素とヨウ素(I)の結合は、炭素と臭素(Br)の結合よりも切れやすいため、R1はヨウ素部分のみに結合して以下の化合物が得られました。
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次に上の化合物とR2とを反応させました。R2は残っていた臭素部分に結合し、無事に以下の化合物Aが得られました。
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いかがでしたでしょうか。つまり異種ハロゲン化合物は、上記化合物Aのような「非対称な最終生成物」をはじめとした複雑な化合物をつくりたい場合に非常に役に立つのです。これは、反応性の異なる2種類以上のハロゲンを持つ異種ハロゲン化合物ならではの強みといえるでしょう。
異種ハロゲン化合物シリーズ一覧と各化合物の用途
異種ハロゲン化合物シリーズにはさまざまな化合物があり、これらは主に薬や感光体材料などの中間体(パーツ)として使用されています。販売している異種ハロゲン化合物の一覧と各化合物の用途、構造式は以下のとおりです。この記事を読んでくださっているあなたの求めるパーツがないか、ぜひ探してみてください。
マナックは異種ハロゲン化合物をつくるための臭素化やヨウ素化だけではなく、異種ハロゲン化合物を使った各種カップリング反応も得意としており、中間体の製造から高次化合物の生産までを一括して請け負うことが可能です。上記カタログ内に求めるパーツがあった場合、そのパーツを使った高次化合物の合成まで、マナックにご相談ください。