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スタッフストーリー

「ドローンの目」を持つベテラン/化学合成40年の匠の信念とは

みなさんの住んでいる場所の近くには、川が流れていますか。川の全容は、なかなか地上からはつかめません。山奥の水源に近い急流から、山中の蛇行している部分、さらに街中を流れる下流域まで。私たちが目にしているのは、そのごく一部です。マナックの化学製品開発をそうした1本の川にたとえるなら、上流から下流までを知り尽くした寄高和美さんは、空中から見渡せる「ドローンの目」を持ったベテランです。どこに研究の難所があるのか。最終的に製品化にこぎつけるためのポイントは何か。40年の経験が、広角の視野を支えています。

海洋微生物から化学合成の道へ

寄高さんは、マナックの地元・広島県福山市で生まれ育ち、1981年にマナックに入社しました。以来、研究部門に25年。

「大学時代も大枠では現在と似たような有機合成の研究実験をしていました。海にいる微生物から得られる抗生物質の合成の研究でした。入社後は有機合成を更に大きな工業的スケールで実施する事が仕事となりました。」

入社5年目で得た自信のわけ

入社して5年ほどすると、ハロゲン原子を構造内に含む医薬品向け中間体の開発を任されました。小さいながらも専用設備を作り、初期の実験から試作品づくり、さらに量産化まで、工場と協力して仕上げることができました。

「もし大企業に入っていたら、ここまで一貫して仕事を仕上げる経験はできなかったのではないかと思います」

製品の合成上のポイントを正確に理解し、設備の運転条件を決め、安定して供給するところまで、若いころにやり遂げたのは、大きな自信になったといいます。

取材が終わった後も、寄高さんは研究員の相談を受けていた

若手に思い切ってゆだねる社風

若手に思い切って委ねるというのは、当時からいまにいたるまで、マナックの社風のひとつです。長じて、若手を指導する立場にまわった寄高さんは「うちの若手はみんな、昔の私以上に技量があります」といいます。

年を重ねるとつい、「最近の若い者は……」「自分たちの世代のほうが……」と思いがちですが、そう考えたことはないそうです。

唯一、若手に対して口癖のように言ってきたのは「うまくいっていないときだけは、教えておいてくれよ」ということのみ。最低限のリスク管理をし、それぞれの「個の力」を高めることに、力を注いできました。「年寄りがじゃまをしなければ、彼らは勝手に育ちます」。

海を渡って技術を伝える

長年の仕事で得た知識や技術を伝える先は、社内にとどまりません。中国の南京市にある提携企業に出向き、3年にわたって指導をしたこともあります。はじめは、言葉や文化の壁から、かみあわない場面がありましたが、それを乗り越えるために、いくつかの工夫を試みました。

まず、化学反応の流れや条件を簡潔に図で示しました。
そして、先に結論を述べたうえで、あいまいな表現を使わないよう、気を配ったといいます。

「日本人どうしであれば、あうんの呼吸で伝わることはあります。むしろ、少しあいまいさを残していたほうがコミュニケーションを円滑に進められるかもしれませんが、海外では、それは通用しないと痛感しました」

臭素化をめぐる技術的な手合わせでイスラエルの企業も訪問し、その際にも、こうしたポイントに気を配りました。いずれも今後、社として海外で事業展開をしていくうえで、欠かせない知見です。

川下の経験をいかして

研究部門の後は、製造部門へ。研究や開発を川の上・中流とするならば、製品化を担う製造ラインは、海へと流れ込む下流です。およそ100人が働く工場で、設備の稼働率や製品ごとの利益の状況をいかに定量的に把握するかに知恵をしぼりました。

製品をつくるために使う釜の個数や、それぞれの釜の容量、さらに施設の床面積などを加味して、数字をもとに工場の状態を把握することにつなげました。

いまは、研究、製造の両部門、さらに海外経験をふまえて、若手社員をバックアップする立場にいます。

「あらゆる化学合成に対応できるようなエース社員が、複数育ってきています。私は、過去の仕事も含めて、フォローに回り、日々の仕事に穴があかないよう、お手伝いするだけです」

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