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スタッフストーリー

高付加価値と低廃棄物を同時に実現/「臭素化ではハードルが高い」とされる「フロー合成」に挑戦!

臭素は、分子と分子を接着させて多様な性質を持つ化合物をつくりだすことに使われます。そのため、分野も多岐に渡り、臭素化合物は化学業界で広く使用されています。しかし、臭素は腐食性が高いことに加えて、強い酸化剤でもあり、揮発しやすく、反応性も高いため、工業的規模では取り扱いが難しい側面があります。人体への危険も伴うことから、臭素反応を避ける化学会社もあります。マナックは工場内の最大1万リットルの釜を使う大規模な臭素反応に加えて、少量ずつ連続的に反応を起こす「フロー合成」の手法で展開する臭素反応にも注目しています。フロー合成ならではの臭素反応により高純度な化合物をつくる試みを始めています。研究している村上聡さんに話を聞きました。

環境と人に優しいというメリット

化学製品の約99%は、すべての原料を大きな釜の中に入れて一気に反応させる「バッチ合成法」でつくられています。バッチ法で「原料A+原料Bで化合物Cをつくる」とした場合、反応後の釜の中には、目的物である化合物Cだけではなく、異なる化合物DやEができています。このため、再結晶化などの精製作業をして化合物Cだけを採取する必要があります。バッチ法は大量生産を可能にする一方で、精製作業に労力やコストがかかり、精製後に廃棄物が大量に出るなどのデメリットがあります。

この課題を克服するのが「フロー合成法」です。管に少量ずつ原料を流し込み続け、流れていく間に反応を制御し、管から出てくるときには目的の化合物だけができている、というイメージです。フロー合成は、精製作業にかかる労力と廃棄物を大きく削減できる反応手法なので、人にも環境にも優しいというメリットがあります。大きな設備もいりません。

研究を続ける村上さん

臭素でもフロー合成法を可能にする挑戦

さらに、臭素反応をフロー合成でおこなうと、別のメリットもあります。化学反応時の暴走リスクを最小限にできるため、人体に及ぼす危険が少ない。安全だということです。

また、臭素は、水よりもはるかに重く、腐食性が高い物質であるため、使用設備にも工夫が必要となります。管に流す物質量の加減が難しく、「臭素を使ったフロー合成を産業で利用するのはハードルが高い」と言われてきました。

いくつかの企業から相談を受けて化学製品の生産を模索している村上さんは「いまのところ、予測通りの反応が得られています」と手応えを感じています。祖父の教えである「机上で終わらせず、何ごとも確認してみる。行動を起こせば、必ず新しい何かにつながる」を実践する村上さんの模索は続いています。

ファインケミカル競争を勝ち抜く道

少量で多品種生産する化学製品を「ファインケミカル」と言います。複雑な分子構造を持つのが特徴で、機能性や付加価値が高い化学製品です。電子部品の材料や医薬品、食品、農薬、香料など広い分野で使われ、市場規模は拡大しています。多くの化学会社が注力する分野でもあります。

「少量・多品種」なので、大きな設備は必要ありませんが、多品種の製品をつくるには、機動的に何度も実験を繰り返さなければなりません。ファインケミカルの生産にフロー合成を活かし、他社との開発競争を勝ち抜く。これがマナックの考えです。

フロー合成臭素化合物の未来

村上さんに現状を聞きました。

製品として出荷したものはありますか。

まだ製品化には至っていませんが、どんな化合物ができるのか試している段階です。これまでマナックでつくっていた化合物とは違う、フロー合成でしかつくれないものができています。

フロー合成で臭素化合物をつくるという点で、マナックの優位性はどこにありますか。

長年臭素を使ってきた会社なので、どう扱えばいいかのノウハウが蓄積していることと、臭素を適切に扱える設備が整っている点でしょうか。この優位性を活かせば、顧客のさまざまな要望を踏まえつつ、マナックにしかできない高付加価値な化合物を高純度でつくることができると思います。

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