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【特許】長期保存できる 2-アルコキシエチルブロマイドで医薬品メーカーの課題解決

技術・特許, 製品

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マナックは多くの特許を出願・取得しています。特許を調べた企業から化合物の製造などに関して相談が寄せられる場合があります。

今回の紹介する取引例は、ある化合物の製造方法に関する特許を見た企業から相談があり、マナックの「臭素化技術」「臭素取り扱い技術」によって課題を解決した実例です。

特許から始まった課題解決ストーリーを追ってみましょう。

この記事でわかること
✔ マナックは「臭素化技術」で製造方法の課題を解決した
✔ 特許技術を活用して医薬品メーカーの要望に応えた
✔ マナックは高い技術力で臭素化合物を製造・管理している

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【特許】2-アルコキシエチルブロマイドの製造方法

きっかけとなったのは、マナックが2005年に出願した「2-アルコキシエチルブロマイドの製造方法」という特許です。2-アルコキシエチルブロマイドは臭素(Br)とアルコキシ基(-OR)を含む化合物で、アルコキシ基中のRは炭素(C)と水素(H)からなるアルキル基という構造です。

実は、2-アルコキシエチルブロマイドをつくる方法はこの特許以前にもありました。しかし、従来の製造方法では、2-アルコキシエチルブロマイドが効率よく得られない、副生物(2-アルコキシエチルブロマイドとは異なる別の生成物)ができて純度が下がってしまう、などの問題があったため、新たな製造方法が求められていました。

今回の特許では、臭化チオニルという化合物を用いて2-アルコキシエタノール中のOH基をBrに変換する方法がとられました。Brが臭化チオニルから2-アルコキシエタノールへと移動するのです。

実際は、臭化チオニルを入れるだけではこの反応はうまく進まず、生成物である2-アルコキシエチルブロマイドが分解してしまいます。これを防ぐため考えついたのが、臭化チオニルのほかに、アミド結合または尿素結合を持つ別の化合物を加えるということでした。

このような化合物を加えることで、副反応、生成物の分解が抑制され、高品質の2-アルコキシエチルブロマイドを効率よくつくることに成功しました。

2-アルコキシエチルブロマイドの製造についてお客さまから相談を受ける

2016年の秋、マナックの事業部で医薬品関連製品の営業を担当していた田中豪さんのもとに、ある医薬品メーカーから連絡が入りました。上記特許の製法を使って、2-アルコキシエチルブロマイドを製造してほしいという相談でした。

この医薬品メーカーは、これまで他社の2-アルコキシエチルブロマイドを購入していました。しかし、医薬品メーカーによると、他社製の2-アルコキシエチルブロマイドは「輸送、保管中に分解が進行してしまい、非常に使いづらい」という問題を抱えていました。そこで、マナックにその製造の話が持ちかけられました。

どこで2-アルコキシエチルブロマイドを製造する?

医薬品メーカーが必要な2-アルコキシエチルブロマイドは数キロ程度でした。一方、マナックの設備は数百キロ単位での製造を前提としたものなので、2-アルコキシエチルブロマイドを数キロだけつくるのは困難でした。そのため当初、上記特許を医薬品メーカーにライセンシングし、医薬品メーカーが2-アルコキシエチルブロマイドを製造する案が持ち上がりました。

医薬品メーカーが2-アルコキシエチルブロマイドをつくるには、原料である臭化チオニルを入手する必要があります。マナックは臭化チオニルをつくっていましたが、安全性や輸送上の問題で外部への持ち出しは難しく、販売は不可能でした。

医薬品メーカーが臭化チオニルをつくる案も検討されましたが、臭化チオニルを製造するには臭素化のための専用設備が必要です。また、臭素化合物は毒性が高いため、その取り扱いには高い技術が求められます。結局、医薬品メーカーが臭化チオニルを製造するという案は立ち消えとなりました。

臭化チオニルを取り扱えるのはマナックだけ! 2-アルコキシエチルブロマイドの製造はマナックで行うことに

結局、医薬品メーカーが注文量を大幅に増やすことになり、マナックが特許製法を用いて2-アルコキシエチルブロマイドを製造することになりました。医薬品メーカーによると、「長期保存しても分解しないため、4年たった今でも当時購入した2-アルコキシエチルブロマイドを使い続けている」ということです。

臭素化合物の取り扱いはマナックの強み!

マナックには臭素化合物を製造し、取り扱うための特殊な設備があり、特許をはじめとする製造のためのノウハウも多く蓄積されています。これは、ハロゲン化合物の研究開発に長年取り組んできたマナックならではの強みです。

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