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臭素、ヨウ素の領域なら私たちの出番がある/村田社長が語るマナックの成長戦略

技術・特許, 製品

1969

Chemiaが始まって半年。今回は、Chemia編集部が、マナック株式会社の村田耕也社長に、Chemiaを始めた狙いや今後の成長戦略について話を聞きました。

■ この記事でわかること
✔ マナックは元々製塩業の一部門だったが、戦後の重工業需要の増加に伴い、化学業界へと転業した  
✔ マナックはデジタルマーケティングを駆使して、グローバルな市場に向けたアプローチを強化している 
✔ マナックは安定的な高品質のヨウ素化合物を提供することを目指している 

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アジアで堅調な難燃剤

なぜマナックの工場は広島県福山市にあるのですか

マナックは、1948年に広島県福山市(当時は広島県沼隈郡松永町)で創業したのですが、もともとは製塩をおこなう塩業組合の一部門でした。
記事冒頭の写真は、製塩の際に発生する苦汁から臭素を取り出すための装置(石でできた蒸留塔)で、1960年代までこのような装置を使った方法で臭素を製造していました。この蒸留塔は他社で実際に使われていたものですが、いまは記念塔としてマナック福山工場に保管されています。

村田社長も福山出身ですか

高校まで福山で生まれ育ちました。入社するまではマナック(当時の社名は「松永化学工業」)のことは知りませんでした。大阪薬科大で薬剤師の資格を取った後、母校の県立福山誠之館高校の先輩に誘われて入社しました。

塩業組合の一部門から化学会社に転じたのですね?

戦後の高度成長期に重工業の需要が増え、臭素やヨウ素を用いた有機合成を始め、様々な化合物(中間体)をつくる化学工業に業態を変えていきました。
1988年にマナック株式会社に社名変更し、1990年に広島証券取引所に上場しました。現在は広島市場の廃止に伴って東京証券取引所2部に上場しています。

なにをつくっているのですか

事業は3つの領域に分かれています。
1つ目はものを燃えにくくする添加剤である難燃剤で、家の断熱材や車のダッシュボード、テレビなどの家電製品の外枠、カーテンに使われています。売上高は全社の44%(2020年度連結決算ベース、以下同じ)を占めます。国内はもちろん、アジア市場で売り上げを伸ばしています。

この世に火事があるかぎり、欠かせないものですね。

幅広い用途がわかってきた抗菌剤Etak®

2つ目は、ヘルスサポート事業です(売上比率15%)。
これまでは、人工透析用輸液の原料やイオンバランス飲料などに入れる食品添加物がこの事業の中心でしたが、いま期待しているのは2009年に開発した抗菌剤「Etak®」です。
Etak®はもともと、歯をうまく磨けない障碍者の方向けの虫歯予防剤として、広島大学の二川浩樹教授と共同開発したものです。2020年からのコロナ禍による抗菌への関心の高まりもあって、問い合わせが増えています。

Etak®が製品化される過程は「Chemia」でも記事化しました

現在、Etak®は、新型コロナウイルス予防に使われていますが、私たちが研究を深めた結果、まだまだ幅広い用途があることがわかってきました。
近い将来、びっくりするような発表ができるかもしれません。

Etak®総合サイトはこちら。

ファインケミカル分野は成長の柱

最後の3つ目はなんですか

ファインケミカル事業です。
多くの企業からの受託製造で、電子部品材料や医薬品の中間材料になる化合物(中間体)を製造しています。創業以来培ってきた技術とノウハウを駆使して、たとえば半導体や有機ELディスプレイに使われる部品の中間材をつくっています。

私たちの生活に欠かせないものばかりですね

おそらくChemia読者の皆さんの持ち物の中にも、マナックがつくった中間体が使われた製品がたくさんあると思います。

Chemiaで書く記事は、主にファインケミカル事業の領域です

ファインケミカルは「多品種少量の化合物」のことで、医薬や先端技術の分野で使われます。
ファインケミカルが特殊な機能を持つので、私たちは「スペシャリティーケミカルをベースに社会の進化・発展に貢献する」を会社のスローガンにし、今後の成長の柱と考えています。
2021年4月には、医薬関連の生産能力増強投資を行いました。医薬分野にさらに力を入れていきます。私たちが持っている技術やノウハウについて、Chemiaを通じて多くの企業の方々に知っていただきたいと思っています。

マナック株式会社のロゴ。「社会」「お客様」「マナック」を3つの波で表現し、マナックの持つ高い技術と独自のノウハウをあらゆる方面に伝えていく姿勢を打ち出している

Webマーケティングで海外展開を

Chemiaを始めた狙いを教えてください

臭素、ヨウ素などのハロゲン化反応について、私たちは国内トップの技術とノウハウを持っているし、「必ず出番がある」と自負しています。より多くの企業に役立つ中間体を製造し、社会課題の解決につなげたい。ウェブマーケティングも活用したい。その思いからChemiaを始めました。
記事化されている技術は、私たちが持つ技術のほんの一部です。でも、記事を読んで、「ウチが欲しい化合物をマナックは作れるかもしれない」と思った企業のかたは、ぜひ問い合わせをしていただきたい。
私たちは、受託生産を引き受けるパートナーとして、「マナックしかつくれない」と言ってもらえる上質な化合物をつくる自信があります。そして今後も、「やっぱりマナックに頼んでよかった」と言ってもらえる信頼関係、パートナー関係を多くの企業と築いていきたいと考えています。

Chemiaには英語版もあります

海外展開の一歩だと考えています。
難燃剤は、中国・台湾・韓国などアジア地域で需要が堅調です。
今後は、難燃剤に加えてファインケミカル事業をグローバル展開させたいと考えています。

ヨウ素化合物を欧米に展開したい

とくに注力したい領域はありますか

あえて挙げるなら、ヨウ素化合物です。
ヨウ素の生産量は全世界で推定年間3.5万トンで、うち日本が3割、とチリが6割生産しています。言い換えると、日本とチリ以外ではほとんど生産されていません。
一方で、ヨウ素化合物は、医療現場の画像診断に使われる造影剤を代表例として全世界に需要があります。
私たちの強みは技術とノウハウだけでなく、全世界でも貴重な資源であるヨウ素を、ヨウ素メーカーとのパートナーシップにより安定的に調達できることです。安定的に高品質のヨウ素化合物を生産できる強みを活かして、欧米諸国に展開したいと考えています。

しかし、ヨウ素化合物を輸出することは難しいのではないですか

そのとおりです。
ヨウ素を含む廃液は環境負荷が高いと言われ、日本国内で販売する際はヨウ素を回収してリサイクルする仕組みを利用していますが、海外ではこれが難しい。こういった課題をひとつずつクリアしていく必要があります。

海外でマナックの名前は知られているのですか

かつて海外の展示会でヨウ素化合物の営業をした際、製品は予想以上に売れたのですが、残念ながら社名は認知されていませんでした。
Chemiaを通じて技術力の高さを伝え、海外でも認知されたい。そのうえで欧米の企業と信頼関係を築ければ、必ず受け入れられると思っています。

次回は、10月1日に誕生するマナックグループの持株会社「株式会社マナック・ケミカル・パートナーズ」について、村田社長に話を聞きます。

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